雇用保険制度研究会はこのほど、厚生労働省が示した中間整理案を了承した。自己都合離職の基本手当の給付制限期間の「撤廃に慎重であるべき」として、新しい資本主義実現会議の提案に異論を投じた上で、「1カ月程度」に短縮する案を示した。一方、育児休業給付について給付率10割の必要性を疑問視した上で、時短勤務を選択した場合の給付の創設を主張。また教育訓練給付では、公務員や自営業者、無職の者にニーズがあるとして、雇用保険の枠外の仕組みも巻き込んで制度設計する必要性を訴えた。
■制度見直しへ中間整理
中間整理案は、今後の労働政策審議会雇用保険部会での制度見直しの審議の参考となるように、有識者の立場から制度本来の役割や保護すべき対象について検討の方向性を明確化した。
基本手当に関しては、まず最低でも2カ月を要する自己都合離職の給付制限期間について、安易な離職を防止する観点から「撤廃に慎重であるべき」と主張。政府方針に異論を唱えた上で、失業中の生活の安定を考慮して「1カ月程度」に短縮する案も提示した。
所定給付日数の延長に対しては、「求職期間の長さと再就職先での定着率に相関関係はみられない」と指摘。「失業期間が長いほど再就職後の賃金が低下する研究もある」として、給付水準の安易な拡充を牽制している。
また失業認定のオンライン化についても、モラルハザードが生じる可能性を危惧。来所が著しく困難な者に限定して活用し、原則として「初回の職業相談は対面で行う」よう求めた。
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