チャットGPTをはじめとする生成AIについて、PwCコンサルティング合同会社が5月19日に発表した国内企業従業員への調査結果によれば、54%が「まったく知らない」と回答。約半数の認知層のうち4人に3人は、程度の差はあるものの「業務が代替する」と認識していることが分かった。世界的に利用者が急増し、G7サミットでも年内の国際ルール整備が議論されるなど社会的関心が高まる一方、具体的な活用やリスク管理など取組みの進捗には乖離があることが窺える。
利用者が質問すると、人間のような自然な文章で回答してくれ、画像や音楽などのコンテンツを作りだすことも可能な生成AI(人工知能)。2022年11月に米新興企業オープンAIが「チャットGPT」を公開し、世界の利用者数は約2カ月間で1億人を超えた。
調査は3月31日から4月3日、日本国内の企業や組織に所属する従業員や経営者1081人を対象にWebアンケートを実施。生成AIへの認知や関心、ビジネスへの影響、業務代替の可能性などを尋ねた。
生成AIの認知度合いは、「まったく知らない」が54%で最多。続いて「聞いたことがある」が36%、「AIを使ったことがある」が7%、「業務で活用している」が3%だった。
認知層を対象に業務への利用や業務代替への見解を尋ねると、ともに5~6割が肯定的に回答した。業務代替の程度を尋ねた質問に対して、「大半(6割以上)の業務が代替する」との回答は16%。以降「半分代替」が23%、「多少代替(4割以下)」が36%と、「多少」を含め業務が代替するとの認識は75%に上った。
質問への回答傾向をもとに生成AIへのイメージを分析すると、「ぜひとも使っていきたい」23%、「すごいことは分かっている」9%、「様子見」14%、「知らないがなんとなく不安」19%、「知らない」35%の5つのグループに分類されるとした。
各グループで特徴的にみられる業種・職種として、IT部門や経営企画や研究開発、事務部門では、活用にポジティブなイメージをもつ傾向がある一方、特に医療系専門職などで、業務代替に対する不安を指摘する傾向があった。建設・物流・不動産部門では、業界と関連づけたニュースが少なく「知らない、分からない」との回答が目立った。
調査は、今後具体的な活用例などを通じて「人間と生成AIの役割を明確化すること」が求められるとしている。