水曜日, 1月 14, 2026

セクハラ行為者への懲戒、有効性判断の分かれ目 海遊館事件(今津幸子弁護士)

今津幸子(いまづ・ゆきこ)
1996年弁護士登録。現在、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー弁護士。経営法曹会議常任幹事。人事・労務問題全般の助言のほか、セクハラ、パワハラなどハラスメント問題に関する社員研修、管理職研修なども数多く行う。

■ハラスメント対応の術を身につける 第9回

今回取り上げるハラスメントの裁判例は、海遊館事件(最高裁一小平成27年2月26日判決)である。

■派遣社員にセクハラ 出勤停止と降格で提訴

水族館などを運営する海遊館(「会社」)の男性従業員 X1および X2(「Xら」)が、それぞれ複数の女性従業員(派遣社員など)に対して、1年余りにわたり、 X1の不貞相手に関する性的な事柄や自らの性器、性欲の話、 X2の「30歳は、22、23歳の子から見たら、おばさんやで」などの発言、セクハラ研修を受けた後の X2の「あんなん言ってたら女の子としゃべられへんよなあ」「あんなん言われる奴は女の子に嫌われているんや」という趣旨の発言などのセクハラを行ったことなどを理由に、 X1は出勤停止30日、 X2は出勤停止10日の懲戒処分(「本件処分」)を受け、本件処分を理由に人事上も降格されたことから、会社に対し、本件処分や降格の有効性などを争った事案である。

一審(大阪地判平成25年9月6日)は、本件処分を有効と判断し、控訴審(大阪高判平成26年3月28日)は本件処分を無効と判断したが、上告審である最高裁は、最終的に本件処分を有効と判断し、Xらの降格も有効と判断した。


■「拒否していない」は斟酌せず

控訴審判決と最高裁判決は、懲戒事由に該当する行為として同じ事実を前提としつつ、異なる結論に至った。その理由は、①被害者からXらに対して明確な拒否の姿勢が示されていなかったこと、および②会社からXらに対して事前の警告や注意などがなかったことの評価の違いによる。

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