■連載:人事考現学 新年拡大版「ゆく年くる年」(著者:山本圭子 法政大学法学部講師)
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2019年4月施行の働き方改革関連法において、使用者は年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について毎年時季を指定して与えなければならないこととされた(時季指定義務)。
これは働き方改革関連法の制定当時、いわゆる正社員の約16%が年休を1日も取得しておらず、また、年休をほとんど取得していない労働者については長時間労働者の比率が高い実態にあることを踏まえて導入されたものである。
その結果、厚生労働省「就労条件総合調査」結果によれば、年休の取得率は19年52.4%、20年56.3%、21年56.6%、22年58.3%、23年62.1%と上昇し、24年には、65.3%と史上最高を更新している。

政府は年休取得率70%を目標としており、だんだん近づいてきた感はある。しかし、上の数値は、取得日数を付与日数(繰越日数を除く)で割って百分率に換算して算出されたものであり、分母に繰越日数分を含めれば実際の取得率はこれをかなり下回ることが指摘されてきた。
24年に厚労省が実施した「労働時間制度等に関する実態調査」によると、前年からの繰り越し分を含めて労働者が取り残した年休の平均日数は全事業所計で、「5日以下」が41.4%、「6~10日」17.0%、「11~15日」12.7%、「16~20日」7.5%、「21日以上」10.5%となっている。
そして労働者が取得せずに2年時効を経過した年休の取扱いは「そのまま消滅としている」60.0%、「年休と同じ条件で次期に繰り越している」21.3%、「年休とは取得条件を変え、特別休暇等として積み立てている」6.6%、「消滅分に対する補償(金銭的補償を含む)をしている」4.2%となっている。
年休取得率向上に向けて1987年の労働基準法改正で導入された計画年休は普及率がなかなか上がってこない。前掲の24年就労条件総合調査結果によれば、年休の計画的付与制度がある企業割合はいまだ40.1%となっている。
計画年休は労使協定が要件となっており、労働者側も自由に取得できる年休への志向が高いのかもしれない。計画的付与日数を階級別にみると、「5~6日」が72.4%と突出して高い。働き方改革関連法による使用者の時季指定義務を厚労省もプッシュしていた計画年休で実施しているのであろうか。
■労働基準関係法制研究会報告書の指摘
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