■連載:人事考現学(著者:山本圭子 法政大学法学部講師)
春学期のレポートの採点では、ゆゆしき事態に直面している。事前にきつく禁止したにもかかわらず、インターネット上の検索サイトや生成AIを使用してレポートを作成している学生が5割近くにのぼっているのだ。バレないと思っているのかしら。
彼らは就職活動でも同じことをする。今年は学生からのエントリーシートの添削依頼がやけに少ないと思っていたら、生成AIに書かせたり、就職活動支援サイトの例文を加工したり、エージェントに依頼して作ってもらったりしている。中途採用でも、転職エージェントが面接シミュレーションをし、履歴書や職務経歴書の作成を支援して商品化するが、その包装紙を剥がして本人の人物や技能を見極めるのには、現場の目を入れることだろう。
先日、採用をテーマにしたセミナーに出講し、裁判例を紹介したところ、受講者から反響があった。
A社事件(東京地判令和6年7月18日)は人材ビジネスが関与し中途採用したのに、バックグラウンドチェックを含む経歴調査が不十分だったことが発覚し内定取消になった例だ。
K社事件(東京地判令和4年9月21日)では転職エージェント経由で内定した中途採用者が、現地の懇親会で不遜な態度をとったことで内定取消となった。
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。


