本判決と関連のある過去問として、「債務の本旨」とは何かのほか、退職時の労働基準法の規定の基本を学ぼう。
労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合においては、現に就業を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができ、かつ、その提供を申し出ているならば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当であるとするのが、最高裁判所の判例である。
正しい。最高裁判決である片山組事件(平成10・4・9判決)は「債務の本旨に従った履行の提供」があるとはどのような場合かについて述べた。就業を命じられた特定の業務で労務の提供が従前にできないとしても、他の業務で労務の提供ができれば、それも債務の本旨に従った労務の提供であると考えられている。なお、本紙で扱った事件で考えると、職種の限定がある場合の債務の本旨に従った履行の提供とは、限定された職種においてのみ考えればよいことになる。
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