■労務提供する能力がなく 休職事由に該当するので
外資系証券会社のIT業務で中途採用された原告が精神的不調で休職。期間満了で自然退職になり、その無効を求めて訴訟を提起しました。原告は配属を変更しなかった会社の対応が復職直後への配慮を欠く等と主張。しかし、判決はIT業務限定の合意があったとして、退職扱いは有効と判断しました。
■事件の概要
原告は令和元年5月に被告である外資系の証券会社に採用され、6月からIT周りのトラブル対応等を業務として勤務を開始。会社は業務開始当初から原告の業務遂行上の問題を指摘し、令和3年には原告に対する業務改善計画を開始します。
原告はこれに反発。同年10月、会社に対し医師作成の「適応障害」とする診断書を提出し、同月18日から長期私傷病有給休暇を取得した後、11月18日から令和4年2月18日まで私傷病休職を取得しました。
なお、同社の就業規則は「休職期間満了になっても休職事由が消滅しなかったときは、自然退職とする」と定めています。原告の休職の上限日数は暦日で93日でしたので、休職期間93日が終了すると自動退職になります。
休職期間中に原告は労働組合に加入。解決金を支払うことで合意退職する方向でしたが一転して2月17日に会社への復職を申し入れたため、会社は専門医、産業医の意見を踏まえ、担当業務を減らす条件で復職させることを決定しました。
軽減措置の内容は、少なくとも2週間は上司が原告のフォローアップや体調観察を行う、残業禁止、1日1時間はトレ―ニングの時間を与える、本来のITに関するユーザーサポート業務の25%の負担とする、演習問題の実施などです。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。


