金曜日, 12月 5, 2025
ホーム判例13回の契約更新後の雇止め...

13回の契約更新後の雇止めは プロントコーポレーション事件(令和6・12・5東京地裁判決)

■会社側の言動を評価 雇用継続の期待高くない

カフェチェーン店で13回にわたって契約が更新された結果、契約期間が4年7カ月に及んだ労働者の雇止めが争われた事件。判決は、勤務態度が改善しなければ雇止めの可能性があることを会社が伝えていたことを評価。勤務態度も加味し雇用継続の期待が高いものとはいえないとして、雇止めには理由があるとしています。

■事件の概要

原告は平成31年4月、カフェチェーン店であるプロントでアルバイトとして勤務を開始。配膳やホール業務を担当します。会社はドリンクが作れるよう繰返し指導しましたが、習得せず職位も低いままでした。その間、「ものにならなければ5月25日の更新で契約満了になることを頭に入れて必死でやってください」との指導も受けています。

パスタのテイクアウト容器が欠品した際に、かわりにドリンクカップに入れることを提案するといった接客対応を客から指摘されたり、女性スタッフにスリーサイズを尋ねるなど他のスタッフからもクレームがありました。

契約期間が5年になる直前の令和5年10月4日、会社は11月25日の契約期間満了で契約の更新を行わないことを原告に伝えたところ、原告は労働契約法19条により契約は更新されたとして、雇止めは無効であると訴訟を提起しました。

労契法19条は、有期労働契約は期間が満了すれば終了するところ、契約が反復更新されていて、実質的に期間の定めのない契約と変わりのない状態であれば、正社員の解雇のような「客観的に合理的な理由が必要」との解雇規制が適用されるというものです。

そのためには要件があり、同条1号が実質的に期間の定めのない労働契約と同視できる場合、2号が契約更新に期待することについて合理的な理由があることと規定しています。そして、会社が更新を拒絶することが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」ときは、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の条件で契約が更新されたとみなすと規定しています。

簡単な例で考えれば契約更新の手続きを怠っていたり、「ずっと働いてほしいといった言動」によって契約更新を期待させていた場合には、無期社員同様の解雇規制を受けるというものです。

本件でも原告は、契約更新は形骸化していた、契約更新の期待があったと主張しています。

■判決の要旨

判決はまず1号に該当するかについては、労働契約が13回にわたって更新されその期間が通算4年7カ月になるものの、契約更新のつどに契約書を作成しており、更新手続きが形骸化していないので、「本件雇止めが期間の定めのない労働契約を締結している労働者に対する解雇の意思表示と社会通念上同視することができるとはいえず、本件が労働契約法19条1号には当たるとは認められない」としました。

19条2号に該当するかについては、勤務態度が改善しなければ雇止めの可能性があることを明示的に伝えられていたことを重視しました。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

既存ユーザのログイン

15 + 20 =

   

「労基旬報」メールマガジン

*厳選されたニュースで労働行政の動きをチェック
*人事・労務の実務テーマで記事ピックアップ
*先進企業事例と業界トレンドの今が分かる
*注目の裁判やイベント情報なども随時掲載
(月3回配信、無料)

「労基旬報」紙面のご案内

*月3回、実務に必須の最新情報を厳選した紙面が届く
*法改正から判例、賃金動向までポイント解説
*第一線の専門家によるトレンド解説や先進企業事例
*職場でのよくある疑問にも丁寧に回答
*電子版・オンライン版でオフィス外でも閲覧可能

購読者Web会員登録

「労基旬報」本紙ご購読者の方は、こちらからご登録ください。

人気記事