■全都道府県で1千円超へ
中央最低賃金審議会はこのほど、2025年度の地域別最低賃金額改定の目安を答申した。労働者の生計費を最重要視し、AランクとBランクに63円、Cランクに64円と、初めて下位ランクのほうが大きい引上げ額の目安を提示した。引上げ幅の全国加重平均は額で63円、率で6.0%となり、最低賃金は少なくとも1118円に上昇する計算。全都道府県で1千円を超えることは確実で、地域間格差の比率も81.8%から82.8%へと縮小する。

目安額の実質的な審議は、例年通り小委員会で実施した。7回という異例の長さに議論は及んだが労使の意見の隔たりは大きく、今年度も公益委員見解を中央最低賃金審議会に報告することで決着している。
目安審議では、労働者側委員が「今年は一つの通過点として全都道府県で1千円超の実現は必須」と位置づけ、昨年以上の大幅な改定に向けた目安を提示すべきと要求。これに対して使用者側委員は、最低賃金の引上げの必要性を十分認識するとしつつも、「物価高や人件費高騰分を価格転嫁できている企業は少ない」とした上で、Cランクや小規模事業者全てに適用が及ぶ最低賃金の過度な引上げに抵抗した。
最終的に公益委員見解では、「20年代に全国平均1500円」との政府目標を勘案し、25年度の目安額としてAランクの6都府県とBランクの28道府県に63円、Cランクの13県に64円を提示。下位ランクが上位ランクの目安額を上回るのは初めてで、目安額の全国平均は制度開始以降で最大の63円となった。
公益委員が目安額を示すに当たって最も重視したのは、法定する賃金改定3要素のうちの「労働者の生計費」だ。消費者物価指数は24年10月から25年6月までの間に、持家の帰属家賃を除く総合が平均3.9%、頻繁に購入する品目や食料、基礎的支出項目、1カ月に1回程度支出する品目といった生活必需品を含むものが平均4.2~6.7%と高い水準で推移していることに着目した。


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