土曜日, 6月 14, 2025

給与計算の「品質」をどう定義するか(杉野 愼)

■給与計算DXの先に何を見るか②

杉野 愼(すぎの・しん)㈱TECO Design代表取締役
▶1982年生まれ、広島大学大学院修了。医療系ITベンチャーでの営業を経て大手社会保険労務士事務所で給与計算やM&A、IT推進事業などに従事。2019年にTECO Designを設立し、1000社超の中小企業でのHRテック導入・運用実績を持つ。

給与計算業務の品質とは何か。この問いに即答できる企業は、意外に少ないかもしれません。

製造業であれば「製品の重さは何グラムか」「長さは何メートルか」という明確な基準がありますが、給与計算業務にそのような客観的な指標は存在しません。だからこそ「品質」を曖昧なままにしてしまい、期待値のズレやサービスの食い違いが生じやすいのです。

■法令遵守や追跡可能性(トレーサビリティ)も

特に外注時には、この「品質定義」が欠かせません。多くの企業は「ミスのない計算」「納期通りの処理」などを重視しますが、それだけでは不十分です。たとえば「法律や就業規則に沿っていないポイントがどこか」「社員ごとの計算根拠が追跡可能な形で保存されているか」など具体的なチェックポイントを決め、「品質基準」として文書化しておくことが重要です。

品質定義は環境の変化に応じて常に見直す必要があります。たとえば法改正による支給控除項目の追加をチェックリストに反映し、契約内容を更新するといった業務を外注先任せにせず、自社としての品質基準を主体的に再定義していく姿勢が求められます。

給与計算における品質とは「要求」、つまり自社の課題から導き出されるはずのものです。外注先の基準で品質が決まってしまうことのないよう、自社の要求を明確にしておく姿勢を忘れないようにしましょう。

■「動的な基準」を定義

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