
心理学者のクルト・レヴィンが始めたグループ・ダイナミクスの実験からはじまる。第2次世界大戦中の食料不足に対応するため、どうしたらアメリカ人にホルモンを食べてもらえるのか。講義だけのグループでは3%の人しか食べなかったが、話し合いをしたグループは32%が食べた。
自分の意思を表明する機会があると、その後の行動にもつながりやすくなるとのレヴィン説を、著者は学生時代から20年続けた新潟県中越地震の復興プロセスで目の当たりにした。
初めは無力感が漂っていた被災地の雰囲気が意思の表明から変わった。独裁ではなく、話し合いの先に望ましい社会が実現すると説く。