■過半数代表者選出は民主的に 協定の内容を事前に把握できなければ
専門業務型裁量労働制実施に必要な労使協定を締結する過半数代表者の選出について問われた裁判。その手続は民主的である必要があり、選挙権者全体の25%しか支持していない過半数代表者による労使協定は無効と判断。裁量労働制導入のような重大な効果が争点の場合の選挙手続として重要な判例です。
■事件の概要
松山大学の教授職である原告らが大学に対し、専門業務型裁量労働制を導入した就業規則の変更が無効であるとして、時間外労働等の未払い賃金を求めました。
平成29年、立候補者はE教授1人で過半数代表者選出選挙を実施。選挙権者493名のうち信任票124票ですが、投票をしなかった選挙権者は有効投票による決定に委ねたとみなされるとの大学の規程により、E教授が過半数代表者となった結果、専門業務型裁量労働制を規定した就業規則に改正され、労使協定も締結されました。
平成30年、原告が次年度の過半数代表者の立候補者に必要となる推薦者を募集していたところ、大学の常務理事が他の教授に対して原告を推薦しないようにと介入し、推薦が中止になりました。
この経緯や労基署の指導もあって選挙管理委員会が解散。その後も大学は選挙の実施を求めましたが、問題解決への協力はありませんでした。
過半数代表者が不在となった大学は選挙管理委員会委員5名のうち労働者代表1名が欠員のまま、大学が依頼する4名で委員会を構成してJ教授を過半数の代表者として選挙を実施。信任票を受けJ教授が過半数代表者となり、専門業務型裁量労働制に関する協定書を締結しました。
■判決の内容
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