産業能率大学総合研究所とHR総研が企業の人事担当者を対象に行ったマネジメント教育実態調査によれば、経営幹部から管理職、中堅、若手、新入社員の全ての階層で、9年前の調査値と比べてモチベーションが大きく低下していることがわかった。人事担当者から見たモチベーションの低下は特に若年社員で著しく、新入社員は「低い」「やや低い」の合計が、9年前の14.5%から19.3㌽高い33.8%と2.3倍に増えている。調査から見える実態について、同研究所マーケティングセンターの丸山夏子さんに聞いた。
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■能力開発の主体、組織より「本人」が6割
調査は2024年5月から6月にかけて行い、企業の人事や人材教育部門の担当者・責任者を対象に290件の回答を集計した。従業員規模は10人未満から5000人以上まで幅広く対象とし、回答者の14.1%が人事施策や人材育成の最終意思決定者、62.8%が一部意思決定を担う。調査は1993年の初回から数年おきに経年でマネジメントの実態を調べており、今回9回目となる。
モチベーションが低い傾向の社員割合は「中堅」が計68.6%と最多だが、15年調査と比較すると特に「若手」「新入社員」の顕著な低下が見てとれる。
一方、人材マネジメントの方針や考え方が変化している点について、丸山さんはこう指摘する。
「社員の能力開発の主体について、組織の責任か本人の責任かという人材マネジメント上の方針が15年調査と比べて逆転し、今回調査では『本人の責任』との回答が6割近い(図2)。社員のモチベーションが低いと捉える一方で、能力開発は社員が自発的に行うべきとの方針の間で、対応に苦慮する人事担当者が多いのでは」
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■人事施策の「運用面」が働きがいに大きく影響
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