つけ麺「つじ田」や天丼の「金子半之助」、「田中そば店」など飲食店を運営するオイシーズ(東京都千代田区、従業員数 単体44人、連結1500人)グループに所属する外国籍従業員2人が、このほど在留資格「特定技能2号」測定試験に合格した。熟練した技能の認定資格で、在留期限の更新上限がなく家族帯同も可能となる(表1)。人事部の田中大督部長は「長く働き続けてもらうためにも、資格取得の意思を持つ従業員への就業環境を含めたサポートに力を入れている」とした上で、「国籍だけでなく、性別や年齢、経験の違いに関わらず育成・活躍できる組織づくりが重要」と強調する。
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■家族帯同し長く働きたい 国籍、性別、年齢「関係ない」
同社グループは国内で89店舗を展開し、特定技能資格を持つ外国籍従業員は1号と2号合格者をあわせて70人が在籍。2025年中に100人以上を目標に掲げている。
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「この会社で長く働きたい、自分の家族を帯同したいと思い試験を受けた」と述べるTRAN TUAN VUさん(写真)は、24年10月に実施された特定技能2号試験に同社で初めて合格した一人。「仕事をしながら勉強することが大変だったが、テキストを繰り返し勉強して合格できた」と振り返る。
VUさんは現在店長として、店舗の管理・運営の責任を担う。田中部長は、「真面目で一所懸命に仕事に打ち込む姿に、周りからの信頼も厚い」と話す。
こうした活躍の背景には、外国籍従業員とともに働く職場をつくってきた組織のカルチャーがあるという。同社はいくつかの飲食店ブランドが合併して誕生したホールディングス会社であり、16年の設立以前から外国籍従業員が長く働いてきた事業所もある。
現在も、マネージャークラスで計4人の外国籍従業員が活躍していることが、特定技能資格者として働く若手にとってもロールモデルとなっているようだ。
特定技能2号の資格取得補助や、合格した際にはお祝い金を支給。社内チャットグループで受験者同士のコミュニケーションも図っている。一方で、資格取得を推奨することには難しさもあると田中部長はこう話す。
「強制にならないことも大事。1号の滞在期間を終えて帰国する考えの人もいるでしょうし、あくまで本人の意思が重要です。会社ができるのは取得の意思を持つ従業員の支援で、その意思を持つかは従業員次第の部分が大きい」
その上で、組織として大事にしているのは外国籍従業員を「特別視しないこと」だという。
「目指すお店の形を体現しているか、オペレーションをしっかり行っているかといったことで評価・育成しているので、国籍は関係ない。それは性別や年齢、経験についても同様です。女性活躍や働き方の多様化をはじめ、社会情勢の変化に対応していくためにも、『受容していく』組織としてのあり方が重要です」
23年頃から人事部の発案で、多様性(ダイバーシティ)や包摂性(インクルージョン)の理解を促進する「D&I検定」を、社長はじめ上位役職者が受検。24年12月には、「D&I Award 2024」で最高位の「ベストワークプレイス」と認定されるなど、国籍だけでなく多様な従業員の活躍を支える環境整備に、グループをあげて取り組んでいる。
■日本語学習や生活面も 登録支援機関と協働
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