日曜日, 2月 23, 2025
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出来高払制の有効性判断 サカイ引越センター事件(令和6・5・15東京地裁判決)

■作業量や運搬距離が労働給付の成果 緩やかな相関関係では不十分

引越運送業務に従事する労働者の「業績給」が出来高払制の賃金かが問われた裁判の控訴審。会社は業績給等が作業量と相関関係にあり出来高払制の賃金と主張。しかし判決は、業績給には作業量と一致しないものがあり、出来高払制というからには緩やかな相関関係では不十分と制度の適用を否定した原審を維持しました。

■判決のポイント

引越運送業務に従事していた原告らが、時間外労働の割増賃金が未払いとしてその支払い等を求めた事件。原告らには基本給のほかに業績給A(売上額に応じて支給される売上給と作業に応じて支給される件数給)、業績給B(作業等の手当)、愛車手当、無事故手当等の賃金が支払われていました。

会社は、業績給などの賃金を出来高払の賃金として割増賃金の基礎賃金から除外していました。しかし、原告らはこれら賃金は労基則19条1項6号の「出来高払制その他の請負制によって定められた賃金」に該当しないため、割増賃金を計算する基礎単価には、基本給にこれら賃金を合算したものが含まれるとして、未払い残業代を請求しました。

一審判決は、「労基法27条及び労基則19条1項6号の『出来高払制その他の請負制』とは、労働者の賃金が労働給付の成果に一定比率を乗じてその額が定まる賃金制度をいうものと解するのが相当」として、「労働給付の成果とは作業量や運転距離であるところ、売上額は営業職の交渉力如何により必ずしも作業量等と一致しない」と指摘し、出来高払制の適用を否定しました。なお、一審では自助努力が反映されていないことを指摘しましたが、二審において自助努力の観点は控え目になっています。

本判決も、労基法27条と労基則19条の「出来高払制その他請負制」の労務給付の成果とは作業量や運搬距離である旨述べ、一審とほとんど同じ前提に立つ一方、引越運送業務では労働内容の評価では、作業量に応じたものであるべきところ、売上額が必ずしも作業量と一致していないことを問題視しています。案件で内容が異なれば作業量等と連動していない業績給B、支給要件を充足するかで決まる無事故手当は「成果」ではないとも指摘しています。


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