経済同友会はこのほど、年金制度に関する政策提言を公表した。
年収の壁問題や可処分所得向上の注目度の高まりを受けて、「今こそ令和時代における税と社会保障の一体改革の議論を始めるべき」と強調。2段階の制度改革によって、現役世代の働く意欲を高め、公平・中立・簡素な制度への刷新の道筋を示している。
具体的に、まず第1段階の改革の柱に据えたのが第3号被保険者制度の段階的廃止と廃止時期の明示だ。企業規模要件の撤廃など被用者保険の拡大を進める一方で、5年の猶予期間を設けた上で初年度から第3号被保険者への新たな加入・適用を行わないこととし、第2号被保険者または第1号被保険者への完全移行を目指す。第1号被保険者に移行した者については移行時の世帯年収により、一定金額以上であれば5年経過後から保険料を徴収、一定金額未満だと保険料の減免措置を講じる。
第2段階では、全額税財源とする基礎年金と、保険料財源で賄う報酬比例年金の簡素な制度を構築する。自営業者も報酬比例年金に移行し、低年金者には所得審査を条件に一定額の補足給付を行うことを想定。また被用者保険の労働時間要件の見直しを進めて完全適用を目指すとともに、標準報酬月額の上限を段階的に引き上げる。