■社会保険適用拡大 企業が対応すべきツボ⑥
会社で社会保険に加入する従業員に係る手続きは、一般被保険者であっても、特定適用事業所に勤務する短時間労働者であっても、ほぼ同じです。また、短時間労働者も一般被保険者と同様の給付が受けられます。連載第6回では、これを前提に、短時間労働者であることにより勘違いが起こりやすい手続きの留意点について確認します。
■被扶養者とする家族の年収
1 健康保険の被扶養者
健康保険では、被保険者のみでなく、被保険者が扶養している家族(被扶養者)に対しても保険給付が行われます。短時間労働者の場合、家族を扶養しているケースは少ないと想像されるものの、母子家庭の母が子どもを扶養していたり、高齢の両親を扶養していたりすることがあります。そのため、社会保険の加入手続きをする際には、被扶養者として手続きすべき家族がいないかを確認することが求められます。
2 被扶養者の収入基準
被扶養者として認定される基準の一つが「被扶養者となる家族の年間収入が130万円未満(60歳以上または一定の障害者は、180万円未満)であること」です。この額は「年収の壁」として広く認識されていますが、これらの額未満であっても、家族の収入に図表1のような基準が設けられています。
具体例として、次のような場合には、「収入が被保険者の収入の半分未満」という基準を満たさず、被扶養者の申請において通常否認されます。
・雇用する短時間労働者の年間収入 150万円
・被扶養者の認定を受ける20歳の子ども(短時間労働者と同居)の年間収入 80万円
3 手続き時の確認事項
短時間労働者となるパートタイマー等は、一般被保険者となる正社員等と比較して年収が低い人が大多数です。そのため、被扶養者の認定を受ける家族の収入が多いようなときは、収入の基準を満たさないことがあります。
会社は、このような被扶養者として認定される基準を理解し、また、従業員に説明した上で、社会保険に加入するパートタイマー等から、手続きをするうえで必要な情報を収集する必要があります。なお、家族が受給している年金についても、収入として判断することになっています。
■傷病手当金の申請
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