■Dr.山本 18万件のメール相談から読みとく働く人のメンタルヘルス⑫
Q 「ストレスチェックを受けることがストレス」と…【40代男性、総務課】
総務課で実施しているストレスチェックについて、職員から「ストレスチェックを受けることがストレス」との指摘を度々受けて悩んでいます。会社に知られることを考えると医師の面接指導を受けづらいという声や、真面目に答えても改善につながらないという背景もあるようです。
そもそもストレスチェックは何のためにあるのでしょうか?
Answer

▶1948年東京生まれ。72年東北大学医学部卒、医学博士。東北大学医学部附属病院などを経て、98年から現職。2000年に始めた「勤労者こころのメール相談」は23年間で相談件数17万件に達する。日本医師会認定産業医。日本心療内科学会評議員。
ストレスチェック制度の主な目的は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止です。自分の状態をチェックしてストレスに気付き、セルフケア(自分自身のケア)を促進させることが大きな狙いです。また、職場としては、集団分析の結果をもとに、全体の傾向を把握し、ストレスの原因となる職場環境の改善につなげることが求められます。
まずはストレスチェック制度そのものを会社全体としてきちんと理解し、従業員に周知することが大切です。
ストレスチェックの回答や結果について個人のプライバシーはきちんと保護されます。高ストレス者と判定された方には医師面接がすすめられ、医師面接を受けることで、原因に応じたアドバイス、専門医への紹介、仕事量の調整や出張の制限、作業の転換などの措置が検討されます。人事評価上の不利益につながることはありませんし、その影響と思しき不利益(不当な人事評価等)が見られた場合、会社側に責任が生じることになります。
また、ストレスチェック後は、集団分析の結果をもとに、必ず具体的な改善策を講じましょう。真面目に回答したにもかかわらず、その結果がどう活用されているのかわからず、何の改善にもつながらないという事態は、会社への信頼を損なうことになります。「会社として結果をこのように活かし、策を講じようとしている」という姿勢を、透明化して示すこと自体が重要なのです。
ストレスチェックは、単なる形式的な手続きではなく、職場のメンタルヘルスを支える大切な手段です。従業員が安心して受検できる環境づくりを心がけるとともに、その結果に基づく改善策をしっかりと実行することが、職場全体の健康と生産性向上につながります。
■ポイントの解説 PDCAサイクルに沿って

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