水曜日, 11月 6, 2024

軽度認知障害を知ろう(深沢孝之)

新・働く人の心と体の心理学 第68回 著者:深沢孝之

前回、認知症の基本的なところを説明しました。その際、SNSや共和党支持者、大手メディアではない独立系のジャーナリストなどから根強く出されているバイデン大統領の認知症疑いについて触れました。私の見るところ、彼は認知症の診断基準に入るというより、その前の段階の軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment 以下МCI)には入るかもしれないと思っています。認知症そのものではなく、かといって健常な状態でもない、その中間段階です。皆さんの職場で誰が見てもわかる認知症の方が働いているということはないでしょうけれど、このМCIかもしれない人と出会う可能性はあります。もしかしたら「困った部下、上司」の中にいるかもしれません。あるいは中高年の方は、「最近、自分が認知症か心配だ」という方もいるかもしれません。そこで今回はМCIについて解説したいと思います。

МCIは、本人や家族に認知機能の低下の自覚があるものの、日常生活は問題なく送れている状態のことです。記憶力に軽度の低下があり、もの忘れが多いと感じられる場合です。それが日常生活に支障が出てくると、認知症と診断されます。放っておくと認知症に進行する可能性はありますが、適切な予防をすることで健常な状態に戻る可能性があります。実際に、医療機関でМCIと診断された人が認知症になるのは1年で1割程度といわれています。その他の人はМCIのレベルに留まるか、年相応の正常レベルに回復します。回復するのは16~41%とされていますので、かなりの割合だと思います。ですから、あまり悲観しないでください。

МCIの原因は多岐に渡りますが、まずは生活習慣病との関連がいわれています。糖尿病、高血圧、肥満、脳卒中、脂質異常症などです。ですからこれらの病気の予防が、МCI予防となります。具体的には中年期には肥満・メタボ対策、高齢期には痩せ・フレイル対策が大事とされています。フレイルとは運動機能が低下して、病気や要介護に進むリスクがある状態です。太るなといったり、痩せるなといったり、なかなか大変な感じです。ただ私は、「最近の高血圧やメタボリックシンドロームの基準は厳しすぎるのではないか、科学的に正しくないのではないか」という主張に賛同していて、コロナ禍の医療全体主義的風潮(三密回避、ワクチンうて!の同調圧力など)に辟易としていたのもあって、あまり額面通りに受け取らないようにしています。

ただ、健康な心身を作ること、維持する努力をすることが大切なのはもちろんです。

■軽度認知障害を予防するには

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