■パワハラだがうつ病とは無関係 LINE上で長期間ではないので
中古車自動車販売買取店の店長が未払時間外労働賃金とパワハラによる慰謝料を求めた事案。判決は労基法の管理監督者に該当するとして残業代請求は否定。発言の相当部分をパワハラと評価しながら、LINEで行われ、回数も時間も短期間であることを重視。パワハラとうつ病発症の因果関係は認めず50万円の慰謝料を認めました。
■判決のポイント
原告は平成29年、中古自動車の買取店に採用され令和元年には店長になりました。同年には精神科の受診を開始しています。
令和3年5月には、原告がパワハラと訴えたLINEでのやりとりがあり、同年6月には成績不振店の店長がメンバーとなったLINEが行われました。原告は令和3年6月に退職し、労働審判を経て訴訟手続に移行。原告が死亡したため両親が訴訟を継承しました。
管理監督者性については、店長に買取金額の決定権限があること、遅刻や早退等の減給がないこと、残業も職責に起因すること、年収が1100万円超で他の従業員と2倍の開きがあり、待遇面で労基法が適用されなくても保護に欠けないと指摘。管理監督者に該当するとしました。
ミスの指摘について、「何年店長やってんだよ」等はパワハラと判断。成績不振店の店長がメンバーとなったLINEでのやり取りは、改善策として「指導の域を超えるものとまではいえない」と判断している発言が一部あるものの、「雑魚営業以下」「先月クソ赤字」等はパワハラと認定。50万円相当の慰謝料を認めています。
原告はパワハラがうつ病発症の原因となったと主張しましたが、嫌がらせ目的ではなく、対面ではなくLINEライン上で行われたこと、その機会も2回で、いずれも長時間に及ぶものではない等と指摘し、心理的負荷の程度が強いとまでは認められないとしました。うつ病治療開始の時期から、本件パワハラとうつ病との関係を否定しています。
■判決の要旨 指導としての相当性欠くが うつ病発症させるほどではない
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