2024年の公的年金財政検証では、5通りのオプション試算を実施。検討されている次期制度改正が及ぼす影響を調べるもので、実現の可能性が高いとされるプラス1.1%成長を見込む「成長型経済移行・継続ケース」と、マイナス0.1%成長を見込む「過去30年投影ケース」の2つのシナリオに絞り込んで、マクロ経済スライドによる給付水準の調整終了年度に所得代替率がどこまで改善するかを明らかにしている。
1つめのオプション試算として実施したのは、被用者保険のさらなる適用拡大だ。制度改正の前提としてまず、①「被用用者保険の適用対象となる企業規模要件の廃止と5人以上個人事業所の非適用業種の解消を行う場合」のほか、②「①に加え、短時間労働者の賃金要件の撤廃又は最低賃金の引上げにより同等の効果が得られる場合」、③「②に加え、5人未満の個人事業所も適用事業所とする場合」、④「所定労働時間が週10時間以上の全ての被用者を適用する場合」の4パターンを設定。その上で、それぞれの制度改正を27年10月に実施した場合に、被用者保険の被保険者数が①は約90万人、②は約200万人、③は約270万人、④は約860万人増加すると推計した(図1)。
この4パターンについて、61.2%となっている足下の24年度の所得代替率が2つのシナリオでどう変化するのかをみたのが図2。調整終了年度が早まり、所得代替率が上昇する効果がみてとれ、適用拡大対象数が増えるほど、その効果の幅は大きくなっている。
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