■PTSD発症するほどではない 原告の主張のみの判断に疑義が
セクハラでPTSDを発症したとして、原告が部長と会社に損害賠償を請求し、棄却された事件。医師による診断結果は、もっぱら原告の訴えに基づいているとするのがその理由。会社の対応も評価され、一部の不法行為のみを認め慰謝料は認められましたが、会社の連帯責任として5万円程度が相当としました。
■判決のポイント
平成27年、原告は被告が無断で原告の写真を撮影していると取締役に報告。会社に対応を求め、監視カメラが設置されました。
平成29年にはタクシーの中で被告から手や太ももをさわられた原告は、タクシーを降りて徒歩で帰宅しました。同年2月に総務課長に申告したところ、被告は行為全般を認め、諭旨解雇処分となり会社を退職しました。
原告は就労不能となり平成29年11月付で労災認定。PTSDを発病したとして、被告と会社に対して損害賠償を求めて会社を提訴しました。
判決は写真撮影、タクシー内行為について、業務遂行性を精査。写真撮影のみ認め、会社の連帯責任を認めました。一方、タクシー内行為については、個人的な懇親会として業務遂行性を認めませんでした。また、それらの行為により被告を諭旨解雇処分にしており、会社が対応を怠ったということはできない、としました。
原告は、被告と会社の対応でPTSDを発症したとしましたが、医師の診断結果は、もっぱら原告の主訴に基づくもので直ちに採用することはできない、としました。
さらに、PTSDとは危うく死ぬほどの出来事への曝露を要するとされ、タクシー内行為は屈辱や恐怖等を与えるものの、PTSDを発病させるほどのものではない、としました。肉体的な接触行為はタクシー内行為だけで、数年にもわたって症状が改善しない重度の精神疾患を発症させるものではないとして、両者の因果関係を認めませんでした。
■判決の要旨 肉体的接触を含む行為はタクシー内行為の一件のみ
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。