3月末決算の上場企業の45%が、法律で定められた有価証券報告書(有報)における人的資本開示の要件を満たしていないことが、人事評価システムを提供するUnipos(東京都渋谷区)がこのほど発表した調査結果でわかった。同社の田中弦代表は「開示内容は投資家だけでなく、社員や求職者、世の中に向けた会社の約束。法定開示要件を満たしていないことはブランド棄損のリスクになる」と話している。
金融庁は2023年1月、「企業内容等の開示に関する内閣府令」を改定。有報の記載事項について、男女賃金格差や女性管理職比率、男性育休取得率に加えて、「人材育成の方針」と「社内環境整備の方針」のそれぞれについて、「戦略」と「指標及び目標」を必須記載事項として上場企業に義務付けた。
開示義務化2年目となる今年、田中代表は有志のボランティアスタッフらとともに、24年3月決算の上場企業2295社すべての有報を調査。上記の必須開示要件を満たしていない「レベル1」から、卓越した独自の開示を行う「レベル5」まで5段階で格付けした。
その結果、要件を満たしていないレベル1の企業は1030社で、前年比で10㌽減少したものの45%に上った。以降、レベル2が27%(同4㌽増)、レベル3が17%(同6㌽増)、レベル4が7%(同1㌽減)、レベル5が4%(同1㌽増)となった。田中代表は「女性活躍関連のデータしか開示していない企業がまだ多い。人材育成など取り組んでいるのに開示していない企業も多いと思われるが、法定要件を満たしていなければ『人に興味がない』とみられても仕方がない」と指摘する。
■将来を想定して戦略を
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