火曜日, 12月 10, 2024
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固定残業代の有効性の判断は? 国・渋谷労基署長(カスタマーズディライト)事件(令和5・1・26東京地裁判決)

■恒常的な長時間労働を想定 基本給の賃金単価も職責にみあわない

固定残業代が労災の休業補償給付の支給金額のなかで問われた事件。長時間労働の結果のうつ病となった労働者が、業務による疾病と認定されたものの、固定残業代を通常の労働時間の賃金に算入すべきと訴えを提起。労働時間を賃金単価から割り出し、手当が固定残業代であるのは通常の意思に反すると訴えを認めています。

■判決のポイント

総料理長としてメニューの開発や店舗運営業務に従事した原告の給料は、基本給17万円、職務手当18万円。契約書には、職務手当は時間外・深夜・休日出勤割増分であるとの記載がありました。

原告は平成29年に業務によりうつ病を発症したとして休業補償給付を請求。労災認定はされましたが、休業補償給付としての給付基礎日額の算定を不服として、再審査請求を経て訴えを提起しました。

その額は、職務手当の全額を割増賃金として支払われたものとして平均賃金を算定し、平均賃金は1万1617円でした。判決は、国際自動車事件(最高裁令和2・3・20判決)等の「通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分と労基法37条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要」としたうえでまず、基本給を1カ月の平均所定労働時間で除して賃金単価を算出。その時給は地位や職責にしては「不自然なまでに低額」としました。そのうえで職務手当を賃金単価で割ると(18万円を983円×1.25で除す)147時間の時間外労働に相当し、1カ月当たり150時間前後という法定外労働時間は「労働契約の当事者の通常の意思に反する」として職務手当を割増賃金として給付基礎日額を算定した処分は違法であるとしました 就業規則でも、割増賃金に対応する時間外労働が記載されておらず、職務手当の通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分を判別できない、と断じています。


■判決の要旨 長時間労働を想定した手当 契約当事者の意思に反する

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