木曜日, 11月 21, 2024
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非管理職降格と賃金減額有効性 日本HP事件(令和5・6・9東京地裁判決)

■説明資料は就業規則ではない 降給には合意か明確な根拠が必要

管理職から非管理職への降格に伴う賃金減額が無効であるとして、減額分の賃金の支払請求が認められた事件です。賃金の計算内容が記載された文書が賃金減額の根拠となり得るかが焦点に。周知され労働者が異議を述べなかったとしても、就業規則のような手続がなく、労働契約の合意とはなり得ないと断じています。

■判決のポイント

パソコン製造会社のマーケティングマネージャーだった原告は、管理職としての能力が不足しているとして、会社から退職か賃金減額かを迫られます。原告は降格に伴う賃金減額を選択しつつ、降格による賃金減額が無効だとして訴訟を提起しました。

争点は降格による賃金減額の根拠が何かです。会社は、その根拠として賃金改定を説明した資料を提示しました。

判決は「会社が労働条件である賃金を、労働者に不利益に変更するには、会社と労働者との合意又は就業規則等の明確な根拠が必要」とした上で、会社の就業規則や降給規程には「職務や職務レベルの具体的内容、給与レンジの額、職務の異動の基準が社員給与規程や本件降給規程のいずれにも定められていない」と指摘しました。

会社は、降格になった場合の賃金の減額の内容をイントラネットに掲載し、その計算式も周知し、クレームを受けたことがないと主張。その内容は就業規則でなくても、周知している以上労働契約の内容になっているとしました。

しかし判決は、給与規程や降給規程に委任規定がないこと、職務の具体的内容を定めたものではないこと、労基署に届出られていないことを指摘。資料は就業規則の一部ではないとしました。 また、組合から指摘を受けていないという会社の反論に対しては、労働条件の内容が従業員に与える影響は大きく、周知されクレームを受けなかったことをもって、労働契約の合意が成立したと認めることはできない、としました。

■資料への委任規定がなく 労基署にも届出ていない

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