■組織を発展させる内部通報窓口のつくり方②
内部通報窓口のポイントとして、私が実際に行ったオリンパス株式会社(以下、オリンパス)での内部通報を概説し、特に重要な太字部分の場面を、次回以降順番に解説したいと思います。
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1985年にオリンパスに入社し、カメラの研究開発業務に従事しました。94年に自ら希望して営業職に転換し、国内販売部門を経て5年間の米国(ニューヨーク)駐在。2006年から非破壊検査システムの営業リーダー職に就きました。
事件の発端は2007年4月。同僚から、重要顧客A社の技術者がオリンパスへ転職してくるとの話を聞きました。実は06年12月、すでにA社から別の1人が転職していました。2人目の技術者はその後輩で「システム受注を(転職の)おみやげに持ってくる」との話を同僚から聞きました。
重要顧客社員の立て続けの引き抜きは、企業倫理上の問題に加え、A社の機密漏洩も危惧されます。A社担当の営業リーダーだった私が先方へ出向くと、A社取締役は動きを察していたようでカンカンです。私は上司の事業部長に2人目の転職を止めるよう進言しましたが取り合われず、5月には会議室に呼び出され「口を出すな」と威圧的に恫喝されました。
危機感を募らせた私は6月11日、会社のコンプライアンス室に内部通報しました。通報窓口の運用規定には、「通報者情報を他に開示してはならない」「通報したことを理由として不利益な処遇を行ってはならない」と記載されていました。
コンプライアンス室長(以下、室長)はその日のうちに面会の上、対応を約束してくれました。ところが、7月3日に室長から送付された回答内容のメールは、事業部長と人事部長にもCCで送信されていたのです。
室長は無断漏洩を謝罪し、結果的に2人目以降の引き抜きは中止に。しかし、直後の8月に私は配転命令を受け、業務経験と全く関係のない「新規事業創成探索活動」を命じられました。「人脈への接触禁止」も命じられるなか、8月29日には社長に直接メールで訴えましたが、人事部に対応が任されるだけで解決にはつながりませんでした。
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