地政学は学問ではない。まず著者の否定から始まり、地理をベースとした国際政治、外交政策についてのものの見方、考え方だと定義する。
超大国の「性格」を理解する重要な概念、海洋活動に重点を置くか(シーパワー)、陸に重きを置くか(ランドパワー)、国家存続の大戦略(グランド・ストラテジー)など、過去の具体的事例を交えて解説。「国家の存続をかける選択の前には、同盟関係は好き嫌いではなく、力学(力のバランス)で決定」の一節に、地政学の実践的本質が伺える。
ロシア・ウクライナ戦争、イスラエルとハマス。地政学ブームとは国際政治の悪化の副産物でもある。即時停戦を願うばかりだ。