■公益通報者保護法違反に該当 処分の軽減を目的に通報したので
パチンコ店の経営者の同族として経営を担ってきた監査役と部長が経営者の死去後、中枢の位置から退くことに。新たな経営者の下で行われたパチンコ台の不正操作を告発し減給処分の後、解雇されました。労働者性を肯定された上で、公益通報保護法のもと、減給や解雇も無効と判断されています。
■判決のポイント
パチンコ店で社長が体調不良になったことから、社長の甥である原告ら兄弟は父とともに、部長として、店舗運営の中枢を担うようになります。労働者か否かも争点になりましたが、他の従業員とは異なる権限や一定の裁量はあったものの、社長から指示を受け、指揮監督下のもとにあったとして、労働者であると判断されています。
社長の死後、社長の妻が代表取締役となり、経営コンサルタントと運営に関与するようになり、原告らは実印と決算書類を引き渡しました。
原告らは、被告がパチンコ台の出玉が少なくなるように釘調整を行っていることを動画に撮影し、平成29年3月21日に、警察署に告発しました。強制捜査が行われ、翌日に被告は店舗の営業を自主的に停止しました。
被告らは3月28日に原告らを部長職や責任者から解任。30万円を超える減給処分とし、5月には雇用契約が終了した旨の通知がなされました。
判決は、就業規則の定めがなく減給処分が有効となる余地はないとしました。また、減給の理由の一つとしての告発は、風営法20条10項に違反し、公益通報者保護法2条3項1号の通報対象事実に該当すると指摘。行政処分を軽減することを目的に通報したとの目的を認め、同法2条1項1号に定める公益通報に該当し、減給は許されないとしました。
1名を除く全員解雇は解雇回避努力が尽くされておらず、協議も説明も行っていないのだから、手続も相当性も欠き、解雇は無効と判断されています。
■判決の要旨 通報を理由とした処分は違法 手段も相当性を欠くもの
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