■未払い賃金請求を認める 仕事はずしをマタハラ認定
原告である歯科医に対する妊娠を理由とした仕事はずしについて不法行為を認め、原告への悪口も違法と判断。証拠となった録音行為は職場内の秩序維持の観点から反社会的な行為とまでは言えないとしました。安全配慮義務が果たされていないとして、賃金請求も認められています。
■判決のポイント
歯科医である原告は令和元年から被告である院長の歯科医院で勤務を開始します。令和2年9月に妊娠したことを報告した後は体調不良で休職、復帰を繰り返し、育児休業に。一方、令和4年5月に労務提供の意思があることを伝えましたが、安全配慮義務違反であることを理由に労務を提供していません。
原告は、被告の言動や原告の診療予約を変更したこと等が、妊娠を契機とするハラスメントに該当するとして、慰謝料等を求め、また、安全配慮義務が果たされないために育児休業終了後も労務の提供ができないとして、未払い賃金を請求しました。
判決は、妊娠出産による不利益取扱いを禁止した男女雇用機会均等法9条3項やマタハラ防止措置を定めた11条3項やマタハラ指針、さらには労働施策総合推進法30条の2第1項が定めるハラスメント防止措置を踏まえつつ、原告の主張について不法行為があるかを検討しています。
妊娠判明時の労働契約の変更の強要といった原告の訴え等、原告の主張を認めない点もありますが、原告の診療予約を取りにくくしたり、担当できない患者を原告に割り当てる行為が不法行為に該当するとしました。
原告は録音機器を設置して院長の会話を録音。院長の立場であるにもかかわらず、他の従業員とともに原告を揶揄するような会話に興じることは就業環境を害し不法行為が成立するとしました。
安全配慮義務違反が果たされなかった期間として、1年分の給与の支払い請求が認められています。
■判決の要旨 就業環境を害する行為 揶揄する会話に興じるのは
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