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加害者処分後の発病と労災支給 国・中央労基署長(JR東海)事件(令和3・6・28東京地裁判決)

■配置転換「弱」に過ぎない 加害者の判断枠組みは示さず

JR東海の車掌が部下の暴行後に処分され、その処分によってストレス性障害を発病したとして、労災不支給決定の取消しを求めた事案。判決は加害者であることの判断枠組みを示さずに判断。出向命令は疾病発病後の出来事である上に、そうでなくても心理的負荷は強くはなく、不支給処分は適法と判断しています。

■判決のポイント

平成28年6月、新幹線の車掌長だった原告は、乗線中に後輩の態度に腹を立て足を複数回蹴りました。会社は暴行事件の対応として指導。懲戒処分のなかの訓告処分とし、同年7月20日には、出向を命じました。原告は翌21日にストレス性障害の診断を受け休職。出向の業務には従事していません。なお、原告は平成26年には妻から電気自動車のバッテリーで殴られ夫婦間の関係が悪化し、別居しています。また、平成17年にはうつ病と診断され、その後も重度ストレス反応による通院歴がありました。

原告は平成28年12月に労災保険法の休業補償給付を請求しましたが不支給となり、令和元年に、処分の取り消しを求める訴えを提起しました。

判決は、発症時期について、医師の意見書から平成28年6月下旬と認定。原告が行った暴行については企業秩序を損なう重大な非違行為としました。

原告は処分や指導、出向命令が嫌がらせ等に該当し、心理的負荷は「強」と評価すべきと主張しました。

しかし、判決は、心理的負荷を判断する認定基準の要件にある、発病前おおむね6カ月の間の出来事に該当しないとし、発症時期を考慮しなくても、原告が受けた心理的負荷は、「上司とのトラブル」「配置転換があった」とも強度は「弱」と評価。原告に最大限に有利に判断したとしても、心理的負荷は「中」にとどまり、このことは、疾病の発症時期が平成28年7月21日であっても結論は異ならず「本件各処分は適法」と判断しました。

■判決の要旨 暴行は悪質で教育の必要性 心理的負荷「中」にとどまる

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