京都を中心に病院や介護事業所、保育所など約180の事業所を展開する洛和会ヘルスケアシステム(本部京都市、職員数6200人、以降洛和会)では、ほぼすべての施設や事業所でSNSアカウントを開設し、現場からの発信を行っている。採用面との連携をはじめ、患者数の増加や利用者家族とのコミュニケーションなど部署や事業所のニーズに沿った目的で運用し、リアルな投稿内容に再生数が約300万回に上るなど大きな反響を呼ぶケースもあるという。SNSでの発信のポイントについて、洛和会企画広報部門に聞いた。
■忙しくても「業務で」発信 目的を定め、表彰も
「まず目的を定めることが大切です」と話すのは、洛和会企画広報部門でSNSを担当する小林万優副係長だ。
「例えば洛和会音羽病院産婦人科で開設したアカウント(写真)では、発信を通じて患者さんに(病院を)選んでもらうことを重視しています。ある介護施設では、利用者さんの楽しそうな姿を発信することでご家族に安心してもらう、そうした目的を各施設や部署ごとにアカウント運営者を中心に定めています。洛和会全体の公式インスタグラム(写真)では、採用に特化した形でターゲットを絞り運用しています」
洛和会では以前からブログやフェイスブックなどを運用していたが、インスタグラムやTikTokなどのアカウント開設が組織内で拡大したのはここ1年ほどのこと。若い世代を中心に広がる、画像や短い動画に適したSNSの活用に特に力を入れている。
「当初は私たち広報担当者がアカウント開設などをサポートしていましたが、いまは基本的に各運営者に任せています。また年に1回『SNSアワード』を開催して、優れた発信を共有したり運営者の頑張りを表彰しています」
アワードでは、魅力発信賞、チームワーク賞、トレンド賞、理事長賞、大賞の5つの賞を設定。昨年12月に発表された2023年度のアワードでは、地域に密着した介護・看護施設の魅力発信や、事業所を超えた専門職としてのリハビリテーション部門の発信など、アカウントごとの個性を生かした多様な発信を支援する姿勢が窺える。
一方、現場で働く職員にとってSNSでの発信は負担にもなる。継続的に運営していくためには何が必要なのだろうか。この点について小林さんは、「『業務として行う』という認識が組織全体で共有されている点が大切です」と、こう続ける。
「タブレットなど発信用機材の支給や、勤務時間内に行うことはもちろんですが、例えば『週に1回は発信する』などのルールを業務としてチームで共有しながら進めることで、忙しいなかでも継続していくことができると思います」
採用面に向けた発信では職場やイベントの紹介だけでなく、例えば医療・看護・保育の各職種ごとの職員の制服姿をアップテンポな音楽に合わせて紹介したり、福利厚生制度の利用例を寸劇形式で伝えたりと、動画の強みを活かした発信も特徴的だ。
「見てくれる求職者が『楽しそう』と思ってくれるだけでなく、その一歩先に向けた発信をしていくためにも、目的を明確に定めておくことが大事だと思います」
■離職防止へ社内報再開 給与情報も「紙」で
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。