日曜日, 4月 28, 2024
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「新」ミニシアター始動 永吉直之さん・仁藤由美さん・安住恭子さん(ナゴヤキネマ・ノイ共同代表)

■おんな流 おとこ流~仕事を訪ねて~(57)

新映画館のロゴマークを掲げる(右から)共同代表の永吉さん、安住さん、仁藤さん(2023年12月5日の記者会見で、ナゴヤキネマ・ノイ提供)

昨年7月末、惜しまれつつ幕を閉じた名古屋市千種区今池のミニシアター「名古屋シネマテーク」。その元スタッフらが同じ場所で新たなミニシアターを今年、始動する。名付けて「ナゴヤキネマ・ノイ」。「ノイ」は「新」を意味するドイツ語だ。(井澤宏明)

名古屋の中心街・栄から地下鉄で5分余り。今池は飲食店や風俗店、ライブハウス、新・古書を扱う書店、小さな出版社、ギャラリー、劇団事務所が混在する肩の凝らない普段着の街だ。

名古屋シネマテークはこの地で1982年から41年間、さまざまな国の優れた作品や無名の新人監督の作品、良質なドキュメンタリーや過去の作品などを独自のプログラムで上映してきた。今回の「再出発」を決意させたのも、この街の人たちの後押しの声だという。

名古屋市内では昨年3月、ミニシアターの歴史を長年、共に刻んできた「名演小劇場」(東区)が休館、シネマテークがあった千種区では、老舗書店「ちくさ正文館書店」本店も7月末、60年余りの歴史に幕を下ろした。

そんな寂しいニュースが続く中での挑戦に映画ファンも応えた。改装やバリアフリー化、オンライン予約システムの導入、耐用年数が近づくデジタル映写機の買い替えなどのためにクラウドファンディングで募った資金は、ほぼ2日間で目標額の1000万円に達し、期限の1月末まで半月を残す1月16日現在、2100万円を超えている。

開館準備に忙しい中、共同代表となった元スタッフたちは何を思うのか。永吉直之さん(56)(名古屋シネマテーク元支配人)と仁藤由美さん(63)(同スタッフ)に聞いた。

■今池の街が後押し

―新たな映画館を始めようと決断したのは。

永吉さん(以下、敬称略)「できるといいな、とは思っていた。お金もかかることなので、決めたのは(昨年)11月。ビルの大家さんにやれると言っていただいて、この場所がそのまま使えることになったのが大きいです」

―お客さんの後押しは。

永吉 「映画ファンの皆さんからは、なくなるのは残念、ぜひやってほしい、とはずっと言われてはいたんです。今池の街の皆さんに後押しされたっていうのもある」

仁藤さん(以下、敬称略) 「今池は自営業のお店が多いっていうのもあって、(映画館が)なくなるのはちょっとおかしい、必要だ、と言われる方は結構いました。栄や名駅みたいに大きい街ではないので、お客さんが循環している、共有しているっていうのはあるかもしれないですね」

―ミニシアターの先駆け、東京・神保町の「岩波ホール」が2022年に閉館するなど経営の厳しい時代ですが、その中でも挑戦されるのは、必要とされているっていう思いがあるからですか。

仁藤 「ありとあらゆる国の、それも超有名作品じゃなくて、自国でも小さな映画として作られているものが、(ミニシアターでは)ちゃんと世界で通用するような作品として出てくる。自分たちも映画の新しいところを見ておきたいという考えです」

永吉 「日本で公開されている映画の7割近くはミニシアターでやっていると言われています。名古屋はシネマスコーレさんも(伏見)ミリオン座さんもセンチュリー(シネマ)さんもあって、名演(小劇場)さんもあったので、分け合って膨大な本数をやっていたんですけど、映画館がなくなると見られなくなる作品が出てきてしまう。作品の幅みたいなもの、多様さっていうのは、こういう場所が持っている良さなのかなと思います。

自分が見てきた映画はたまたまミニシアターでやる作品が多かったので、そこで見て育った。シネコン(シネマコンプレックス)がたくさんできてスクリーン数は自分の学生時代より増えているんですけど、(見たい作品は)やっぱりやらない。ミニシアターでやっている映画が見られるようでありたい、見たいなっていうことが大きい」

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