ほくほくフィナンシャルグループの北陸銀行(富山県富山市)と北海道銀行(北海道札幌市)は、挑戦したい部署に人事異動を希望できる「チャレンジ・ジョブ」制度や社内副業、他部署を短期間体験できる制度など、社内公募を通じて「挑戦する風土」の醸成に力を入れている。前編で紹介した採用の多様化から、育成、組織風土へつながる「ひとづくり」の実践について、同グループ人事戦略部の平井浩就部長と北陸銀行人事部の野上剛史部長代理に聞いた。
■本部業務へ「インターン」 性別に関わらず挑戦を
人材をコストでなく資本ととらえる人的資本経営に向けて、グループが定めた取組方針は「地域・取引先をつなぎ 価値創造の原動力となる ひとづくり」。平井さんはその狙いについて、こう解説する。
「地域と取引先をつなげることで価値をつくり出し、課題解決につなげるのが地方銀行のビジネスモデルであり存在意義。そのための『ひとづくり』に必要な具体的なアクションを、6つに整理して進めています(図)」
人材の確保(採用)、育成、組織風土と整理された課題への取組みに向けて、重要なキーワードが「挑戦」だ。組織風土づくりのポイントであり、自律的なキャリア形成に向けた人材育成にも通じる。
「挑戦する風土」に向けて4月から始めた具体的な取組みの一つが「お試しインターン・シップ」制度(写真)。所属部署に在籍しながら、3~5日間、経営企画部やデジタル戦略部など希望する本部業務を体験できる。
個々のキャリア形成を支援し、チャレンジ・ジョブや社内副業を希望できる制度の利用につなげる趣旨だが、背景には、固定的な性別役割に基づく慣行や無意識の思い込みを変えていく狙いもあるという。
「例えば、銀行営業店の窓口や事務業務はどちらかというと女性が担当し、男性は法人渉外部門といった暗黙の役割分担がある。そうした固定的な考え方を変えていくべき過渡期にあることを踏まえながら、人材育成や風土改革も進めていく必要があります」
お試しインターン制度は、4月からの上期でグループ計115人が利用した。
「40~50代の中堅層にも比較的利用者が多かったのは嬉しかった点です。例えば、普段接点の少ない監査部での業務を体験して『管理職や経営層の目線を実感できた』と、若年層だけでなく中間管理職クラスにも気づきが芽生えたことなど、当初意図していなかった成果も得られています」
■公募型の訓練制度も グループの強み活かす
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