水曜日, 2月 21, 2024
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住民の声 司法に届かず

「不当判決」の旗を掲げる(左から)橋本良仁・原告団事務局長、原告の天野捷一・リニア新幹線沿線住民ネットワーク共同代表、半田虎生弁護士(7月18日、東京都千代田区の東京地裁前で)

■国主張を「丸写し」

国家的プロジェクトとして進められている巨大事業に対する住民の異議申し立ては司法に届くのか――。リニア中央新幹線の工事実施計画の認可取り消しを求め、沿線住民ら738人(後に782人)が国を相手取って7年前の2016年5月に起こした行政訴訟「ストップ・リニア!訴訟」の判決が7月18日、東京地裁で言い渡された。(井澤宏明)

判決は「原告らの請求をいずれも棄却する」。判決文は700ページにも及んだが、原告団や弁護団は直後に出した「声明」で「本判決は、国及びJR東海の主張を丸写しにしたものであり、現実に生じている(山梨)実験線での環境被害を無視したもので、責任ある判断を放棄したに過ぎない」と痛烈に批判した。

どのような内容だったのか。

国土交通大臣は2014年10月と18年3月、JR東海が申請したリニア中央新幹線の工事実施計画を「全国新幹線鉄道整備法」(全幹法)に基づいて認可した。

原告側は訴状などで、リニア中央新幹線は全国的なネットワーク性がないため新幹線とはいえず、そもそも「全幹法」を適用したこと自体が違法だと指摘。

本来なら「鉄道事業法」による厳格な審査が必要だが、リニアの事業計画は「経営上」「輸送の安全上」適切であることを求める同法の許可基準を満たしておらず、同法違反にあたると主張した。

記者会見に臨む(左から)横山聡・弁護団事務局長、川村晁生・原告団長、関島保雄・弁護団共同代表(7月18日、東京都内で)

さらに、JR東海が行った環境影響評価(環境アセスメント)は、品川―名古屋間286キロの約86%を占めるトンネルから掘り出される残土約5680万立方メートル、東京ドーム約46杯分の処分場をほとんど確保しなかったり、駅や車両基地など、どのような鉄道施設を造る計画なのか明らかにしなかったりしたまま行われ、「計画段階環境配慮書」公表から最終的な「環境影響評価書」公告まで約3年で済ませてしまった杜撰なものだと指弾。

個別には、地下水脈の破壊やトンネル残土、工事中の騒音・振動・交通渋滞・大気汚染、開通後の騒音・振動・低周波音・電磁波、南アルプスなどの自然環境の破壊、日照被害、景観破壊――などの環境アセスメントについて「内容が極めて不十分で、データを開示しないなど極めて不誠実なものだ」と主張。そのような環境アセスメントに基づいた工事実施計画を国が認可したのは環境影響評価法違反だとして、認可処分の取り消しを求めた。

これに対して、被告の国は、リニアの認可処分は「全幹法」に基づいて適法になされたものであり、国土交通大臣が合理的な裁量権の行使として行った適法なもので、「鉄道事業法」に違反するという原告の主張に理由はない、国交大臣の判断は合理的基準に基づき、環境影響評価法の定める審査を行った結果で、違法でないことは明らかだと反論。請求の棄却を求めた。

■「杜撰」アセス容認

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