火曜日, 3月 24, 2026
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障害当事者が求める職場調整とは VRも活用、レバレジーズの社内研修

7月から民間企業の障害者法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられるのを前に、職場における「合理的配慮」に関心が高まっている。人材サービスのレバレジーズ(東京都渋谷区、従業員数約4700人)では、障害のある社員が講師となり、VRも活用して当事者の視点を重視した社内研修を進めている。同社障害者雇用事業部「ワークリア」サービス責任者の津留有希子さんは、「当事者が強みを発揮するためにも、リアルな声や視点に基づいた職場の理解と調整が必要です。“配慮”ではなく合理的“調整”として進めています」と話す。

■「適当にやっておいて」→「8割程度の精度でOK」など基準明確に

ワークリアは、20~30代の若手の精神・発達障害者を中心に一定期間雇用し、他社への就職や自社での正規雇用につなげる事業。18年に開始し、東京や千葉の5拠点に現在180人ほどが勤め、1年後定着率は約90%と成果をあげている。人材サービスをはじめITやメディア運営など、多岐に展開するレバレジーズグループ内の業務を受託しており、常時120を超える多様な職務の選択肢がある。

2月27日に行われた社内研修には、総務や法務など各部署の業務担当者が参加。ワークリア事業部リーダーの濱渦遥香さんが登壇し、障害当事者である自身の経験を踏まえて、現場での曖昧な業務指示の課題を例示し、解決策のポイントを話した。

研修で講師を務めるワークリア事業部リーダーの濱渦遥香さん。現在は障害のある社員の育成やマネジメントを担当し、生成AIを活用した業務効率化や支援ツール開発なども手掛ける(2月27日、東京都内のレバレジーズ本社で)

「『適当にやっておいて』の言葉には私自身何度も泣かされてきました。『適当』の推測が難しく、100通りの正解が浮かんでフリーズしてしまったり、失敗を恐れて完璧を目指し過ぎて疲弊してしまうこともあります。『8割程度の精度でOK』など具体的な基準を提示してほしい」

そのほか、「手すきで良いから」「分からなかったら聞いてね」といった現場で困ることの多い指示について、時間軸を数字で明示したり、質問のタイミングをルールに組み込むなどの改善策を指摘した。

■VRを活用「感覚として知れた」

研修ではVR(バーチャル・リアリティ:仮想現実)機器を活用し、見えない障害当事者の感覚を社員が疑似体験するプログラムを実施した。具体的には、日常の雑音が大きなストレスとなる「聴覚過敏」や、物事の優先順位を決めたり集中力を持続させることなどに困難を抱える「ADHD(注意欠如多動症)」の感覚をVRで再現。就職の際の面接や日常業務を行う際の難しさを疑似体験した。

VRで障害を疑似体験する社員ら

研修に参加した執行役員兼人事部長の森口敬さんは、「理解はしていたものの、障害を実際の感覚として知れたことが大きい」と指摘。グループディスカッションでは、ADHDの疑似体験について参加メンバーから「自分にも似たような経験がある」との話もあった。

「仕事の任せ方や体制、オフィス環境などを含めて自分自身も気づけていないケースがあると感じた。障害をカミングアウト(開示)しづらい人や、また誰もがその可能性があることを踏まえて、必要なマネジメントのあり方や人事施策を進めていきたい」(森口さん)

津留さんは、“配慮”ではなく“調整”の言葉を使う背景について以下のように述べた。

「『配慮』というと、『してあげること』といった感覚があります。障害のある人と一緒に働く上で、業務や物事の進め方のバリエーションを増やしていくためには、『配慮』より『調整』のほうが感覚に合っているし、当事者としても職場に伝えやすいのではと思います。また障害の有無に関わらず、必要な調整は気兼ねなく言える環境をつくることで仕事の効率も上がり、一緒に働く意味が増すと考えています」

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