広島電鉄(広島市、従業員数1605人)は2017年から短時間正社員制度を整えている。短時間勤務への転換の理由は問わず、復帰も可能で回数の制限は設けていない。背景について、人事部労務課長の坂谷直亮さんは「例えば健康や体力の不安は誰にでも起こり得る。育児や介護といった理由に限定しないことで、誰もが自分のことに置き換えやすい」と説明する。人手不足が深刻化するなか、多様な社員の戦力化や採用面を見据えた制度運用について詳しく聞いた。

■多様な人材活用視野に 若年層とシニア、シフトで協働
25年9月末時点で制度を利用する社員は70人。これまでの累計利用者数は191人と全社員の1割超で、制度利用後にフルタイム勤務に戻るケースも少なくないという。
「年代は偏りなく利用しています。理由として多いのは育児と体力面での不安の2つ。電車やバスの乗務は顧客の命を預かるので、体調が万全でないと不安という理由で制度を利用する中高年社員もいます」(坂谷さん)
働き方のイメージと制度概要を下図に示した。


本人の都合により転換の理由や時期を問わない点が特徴だが、適用期間については運行ダイヤの調整の必要もあり、3カ月以上としている。賃金・賞与はノーワーク・ノーペイの原則に基づき、労働時間に応じて減額・控除する形だ。
短時間正社員制度の導入と同時に、シニア社員の雇用上限年齢を66歳から70歳に引き上げ、職種についても従来の運転士や車掌に加え、事務職や技術職も対象とした。
「例えば子育て中の短時間正社員は日中の時間帯に勤務が偏りがちですが、シニア社員は朝に強く、ラッシュ時の時間帯なども比較的勤務しやすい。両者を組み合わせることで勤務シフトを維持する狙いもありました」
坂谷さんは「この(短時間正社員)制度がなければ辞めていた」という声も受けたという。
「労働力不足が深刻化するなかで、フルタイムより長い時間働けるような社員だけでダイヤを維持していくのは難しくなっています。多様な事情を持った既存社員をどう戦力としてつなぎとめられるか。また採用面で幅広い人材にターゲットを広げていくためにも、制度を運用しています」
■理解浸透に苦慮
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