4月から高年齢労働者の労働災害防止措置が企業に努力義務化される。昨年末に厚生労働省の検討会が示した指針案が重視するのは、個々の労働者の健康状態や体力の「把握」だ。なぜ把握が必要で、何から着手すればよいのか。中央労働災害防止協会が2025年3月にまとめた転倒防止の好事例集から、そのポイントを探る。
■体力低下は気づかない
把握が重要な理由は、高齢になるほど健康や体力の個人差が拡大し、個々の特性に応じた対応が労災防止に直結するためだ。例えば同じ65歳でも、元気な人とそうでない人との身体・精神機能の年齢を表す「生理的年齢」は、暦年齢と16歳もの違いがあるとの研究もある。

しかし、自身の健康や体力を把握することは簡単ではない。例えば約1万人の高年齢従業員に転倒リスクのセルフチェックを実施したヤマト・スタッフ・サプライ(東京都中央区)では、転倒しやすさを尋ねた質問票の回答から分かる労働者の主観的な意識と、実際の体力測定による身体機能は、年齢が高くなるほど乖離していた。自身の体力低下への「気づき」が、労災防止に向けた大きな一歩になる。

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