■ 働く人を訪ねて OFFICE HOUR 第4回

「依頼者にとって事件は人生の大事な分岐点。右から左じゃなくしっかり関わりたい」――“一件をワンケースで終わらせない”がポリシーの弁護士の圷由美子さんは熱っぽく語る。20年を超える労働者側での事件の担当経験を活かし、今は企業の顧問や社外取締役も務める。労働者目線をもって公労使の業務に携わり、男女共同参画への取組みにも力を注ぐ圷さんを訪ねた。
――何故、弁護士を志したのでしょうか。
小6の時に四大公害訴訟について担任の先生が授業で詳しく教えてくださり、弁護士が声なき声を社会に問題提起し、救済への道筋をつける職業だと知り、シンプルにかっこいいと思ったのがきっかけです。
他方で社会科の教員だった母が私の出産を機に辞め、小3の頃から再び専門的な仕事に携わったものの、非正規のままで「あの時続けていたら…」と口にすることがありました。弁護士であれば、自身のライフステージが変わっても仕事を続けられるかもしれない、そう漠然と思いました。
――これまでのキャリアで転機となった出来事はありますか。
転機の一つが日本マクドナルド「名ばかり管理職」訴訟で、「人間らしく働ける職場であってほしい」という原告の志に共鳴しました。提訴時は長男を妊娠中でまもなく臨月という時期でした。
現職店長の提訴でメディアも大きく報じ、「名ばかり管理職」は東京地裁判決が出た2008年に流行語大賞のトップテン入りをしました。一人の勇気ある声が大きなうねりとなり、世の中を変えていく姿を見るとともに、原告の背後には、同じ立場でも声を上げられない方々がおられるわけで、一件をワンケースで終わらせてはならないことも心に刻みました。
――最近多い相談はどういった内容ですか。
いわゆるフジテレビ問題以降、再びハラスメント相談が急増しました。
企業や組織からも、ハラスメントへの対処方法や第三者意見を求められています。お声掛けはおおむね同業者、社労士、心理士からの紹介経由です。培った労働者目線を期待された依頼であるのもありがたいですね。
――働く中での失敗と学んだ教訓はありますか。
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