労働政策審議会安全衛生分科会はこのほど、厚生労働省が示した労働安全衛生規則などを改正する省令案を了承した。改正労働安全衛生法で新設する個人事業主災害報告について、2027年1月の施行に向けて制度の詳細を定めた。
労働者と同一場所での個人事業主の就業に伴う死傷災害について、直近上位の注文者や災害発生場所管理事業者などに対して、所轄労働基準監督署へ遅滞なく報告することを義務化。個人事業主に対しても、可能な場合は直近上位の注文者などへの災害発生の伝達・報告を義務づけるほか、プライバシーに配慮して脳・心臓疾患と精神障害事案を監督署に直接報告できることも規定した。

また監督署への報告については電子申請によることを原則とした上で、労働者死傷病報告を参考に報告事項を定めた。例えば、報告者に関する情報としては「労働保険番号」「災害場所の事業場や工事名」「元方事業者の名称」など、被災者に関する情報としては「氏名」「傷病名」に加え、「特別加入の状況」などを列挙している。

さらに報告主体に対しては、個人事業主が法令上の義務となる業務上災害の報告を行ったことを理由とした不利益取扱いを禁止する。
安衛則への規定までには至らないものの、制度の円滑な運用に向けて通達も発出する方針。報告主体が災害発生の事実を知り得なかった場合の報告義務や、報告対象とならない休業4日未満の災害の監督署への情報提供の考え方をはじめ、不利益取扱いの具体的内容、個人事業者に報告義務が生じる具体的なケースなどを明確化する。
報告された災害データは、個人情報を除き利活用。災害の分析や防止対策に役立てるほか、公表して業種・業態の災害の傾向を明らかにする。



