■違反した委託事業「承継先」にも勧告可能
下請代金支払遅延等防止法から改称する中小受託取引適正化法の2026年1月施行を見据え、公正取引委員会はこのほど運用基準の見直し案を明らかにした。新たに禁止した協議に応じない一方的な代金決定について「据置きを含む」などと、法の解釈を例示を交えて明示。また特定運送委託の追加、従業員基準の導入の考え方も整理したほか、違反行為を行った委託事業を合併や譲渡により承継した事業者に対しても、是正などの所要措置を勧告できることに留意を促した。
下請法を引き継ぐ中小受託取引適正化法はすでに、5月23日に公布。来年1月施行も決まり、法の解釈を示す運用基準の早期見直しが求められていた。なお法の略称として、「取適法」を使用することも併記している。
新運用基準案では、まず新たに禁止される協議に応じない一方的な代金決定について、「給付に関する費用の変動その他の事情」を理由に「中小受託事業者が求めた代金に関する協議に応じず、また協議で必要な説明・情報を提供せず、一方的に製造委託等代金の額を決定すること」と整理。

協議を求める根拠となる事情は、「労務費や原材料・エネルギー価格の高騰」「取引条件の変更」「従前の代金の引下げ」で、委託事業者は求めに応じて適切に協議を行う義務があると明記した。

また協議に関し、求めは「書面・口頭を問わない」こと、応じずは「拒否・無視・先延ばし」が該当すると示唆。

一方的な代金決定についても、「中小受託事業者との価格交渉を経ない代金の額の設定」を指し、決定には引上げ・引下げはもちろん、「据置きも含む」と厳格化している。

このほか、新たに禁止される手形払が支払遅延に該当することを明示。さらに不当な経済上の利益の提供要請に関し、製品作成に用いる「木型、治具」などが金型と同様に製造委託の対象物となることも追記する。


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