金曜日, 12月 5, 2025
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精神障害の労災認定件数が初の1千件突破 ハラスメントが4割強

厚生労働省がこのほど発表した2024年度過労死等労災補償状況で、精神障害と脳・心臓疾患の労災請求・認定がともに最多を更新。制度の認知の浸透もあるが、精神の労災認定が初めて1千件を超えており、職場環境が悪化している可能性が懸念される。


精神労災は請求が前年度比205件増の3780件、認定が同172件増の1055件とともに大幅増を記録。認定は男性が同81件増の552件、女性が同91件増の503件で、内数の未遂を含む自殺は順に同9件増の81件、横ばいの7件を数えた。


男性は40代が同23件増の163件、女性は20代が同32件増の147件で最も多くなっている。


業種別では「医療、福祉」が同51件増の270件で最も多く、「製造業」が同40件増の161件、「卸売、小売業」が同17件増の120件、「運輸業、郵便業」が同9件増の110件の順で認定が多い。男性は114件の「製造業」、女性は204件の「医療、福祉」が抜けて多く、対策が急務なことを裏づける。


認定を具体的な出来事別にみると、「上司等から身体的・精神的攻撃等のパワハラを受けた」が同67件増の224件で突出しているが、「セクハラを受けた」も同2件増の105件と3桁を維持した。またカスハラを想定する「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」と「顧客や取引先から対応が困難な注文や要求等を受けた」を合わせた件数も、同55件増の118件に急増。合計件数が認定総数の42.4%を占めるなど、想像以上に職場でハラスメントが横行しており、多くの労働者を苦しめている実態が浮き彫りになった。


脳・心臓疾患の労災についても、請求が同7件増の1030件、認定が同25件増の241件にともに増加した。認定は男性が同31件増の229件、女性が同6件減の12件とほぼ男性が占めている。



男性の認定は50代が同36件増の125件、「運輸業、郵便業」が同13件増の88件と突出。時間外労働時間は「80時間以上100時間未満」が同23件増の76件、「60時間以上80時間未満」が同3件増の46件で多く、過労死ラインより少ない時間外労働から注意が必要なことを示唆する。



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