■Dr.山本 19万件のメール相談から読みとく働く人のメンタルヘルス⑲
Q メンタル不調者の復職で主治医と産業医の意見が分かれた【50代男性、人事部】
ITエンジニアという業務特性もあり、メンタル不調で休職する社員が少なくありません。会社として復職支援プログラムを整えているのですが、復職可否の判断にあたって主治医と産業医の意見が分かれることがあります。こうした場合の対応のポイントや、普段から気をつけるべき点などあれば教えてください。
Answer

▶1948年東京生まれ。72年東北大学医学部卒、医学博士。東北大学医学部附属病院などを経て、98年から現職。2000年に始めた「勤労者こころのメール相談」は25年間で相談件数19万件に達する。日本医師会認定産業医。日本心療内科学会功労会員。
メンタル不調により休職している社員の復職を巡って、主治医と産業医の意見が分かれることは、企業にとっても対応が難しい問題です。これは特に、ITエンジニアのように業務のストレスが高い職種では頻繁に見られるケースです。
■情報共有とバランス
まず、復職の判断にあたっては、主治医が患者の立場を重視しているのに対し、産業医は社員の職場への適応や業務遂行能力を考慮するといったように、両者が異なる観点で意見を持つことがあります。こうした場合、会社としては、両者の意見をしっかりと受け止め、バランスを取ることが求められます。
対応のポイントは、まず第一に、復職プログラムの中で主治医と産業医との情報共有を促進することです。主治医には、職場の具体的な業務内容や社員の役割を事前に伝え、産業医には主治医の診断や治療方針を共有することで、双方の理解を深める手助けをします。
第二に、当該社員自身の意見や希望をしっかりと聞くことも重要です。復職は本人の意思がとても重要ですので、本人の自信や不安をしっかりと把握し、それに基づいて支援策を考える必要があります。
また、普段からの対応としては、日常的に社員がストレスを感じている兆候を早期に発見し、未然にケアできる仕組みを整えることが大切です。定期的なメンタルヘルスチェックや、気軽な相談窓口の設置、産業保健スタッフによるフォローアップなど、心の健康を守るためのサポート体制を充実させましょう。これにより、メンタル不調が深刻化する前に適切な介入が可能になります。
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