■精神疾患対象外など改善検討 プラス40%の割増上限引上げも
労災保険制度の在り方に関する研究会はこのほど、メリット制に関して議論した。災害防止効果を認めて制度を存続すべきとの意見が多数を占めたが、改善が必要との認識で一致。保険料増額の不服申立ての多発を鑑み、事業主に労災保険給付の支給決定を通知すること、業務上と判断された精神疾患や脳・心臓疾患を対象外とすることを検討するほか、労災かくしへの対応でプラス40%の割増上限の引上げ、制度対象範囲の拡大などが今後の論点になりそうだ。
メリット制は、個別の事業場の災害の多寡に応じ、労災保険率または保険料を増減する制度。平均100人以上を使用する継続事業、確定保険料40万円以上の一括・単独有期事業などを対象に、保険料負担の公平性の担保、災害防止努力の促進を図っている。




この日の研究会では、厚生労働省がメリット制適用の有無別に被災者数の動きを調べた検証結果を提出。全事業場で2022年度の被災者数が前年比6.9%増の13万8154人に増えたが、プラス40%の割増適用事業場では同3.3%減の9456人と反対に減るなど、制度の一定の効果がみてとれたと強調した。

検証結果を受けた意見交換では、廃止を求める声が一部であがったが、災害防止効果を認めて制度を存続すべきとの意見が多数派を形成。ただし保険料増額の不服申立てが多発していること、労働者死傷病報告で虚偽記載・提出する、いわゆる労災かくしが後を絶たないことに対応するため、改善策を講じるべきとの意見で一致した。
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