2023年春から労使交渉が協調へシフトしたことで、厚生労働省集計の大手の賃上げ率は24年春に前年比1.73㌽増の5.33%と33年ぶりに大台を突破。25年春のシンクタンク各社の賃上げ予測は4%後半から5%前半で、前年の勢いからやや鈍化するとの見方が大勢を占める。

25年交渉では、連合が春闘方針で「賃上げ分3%以上、定期昇給分を含めて5%以上」と前年と同様の目安を提示。ただ中小組合は「6%以上」と踏み込み、格差是正を大きなテーマに掲げている。

一方、経団連は経営労働政策特別委員会報告で「制度昇給はもとよりベースアップを念頭に置いた検討が望まれる」と、前年の「有力な選択肢とした検討」から記述を強化。中小企業の賃上げには、価格転嫁の必要性を強調して格差是正に一定の理解を示すも、「前向きな検討・実現が望まれる」との表現にとどめた。

24年交渉との違いは、3月の回答のヤマ場を待たずに回答を表明する企業が極端に少ない点。物価高騰や円高、米大統領の交代や中国経済の減速など経営の不透明感が影響しているとの指摘もあるが、組合側が24年交渉のような要求を飛び越えた企業の回答に警戒し、企業側も組合の体面を重んじて回答を遅らせているとの声も漏れ伝わる。
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