過半数代表者の選出をめぐる問題点を前編でみたが、労働基準法の次期改正では過半数代表の機能強化が大きな柱の一つに据えられる。過半数代表が関与する制度は少なくなく、労使が対等な立場で協議を行い、合意に至ることのできる環境を担保するのが狙いだ。
労働政策研究・研修機構の2018年調査で、過半数代表を利用した手続を行ったことが「ある」事業所割合が54.1%と5割を超え、「ない」の36.3%を大きく上回った(図1)。「ある」を規模別にみると、「29人以下」が49.8%、「30人以上」が86.5%となっているように、規模が大きいほど手続を行う機会が多いことがわかる。
手続内容は「時間外および休日労働」が44.1%で最も多くなり、行われた手続の半数弱を、いわゆる36協定の締結が占めた。以下には、「就業規則の作成または変更」が33.2%、「変形労働時間制の導入」が16.6%、「育児・介護休業法に基づくもの」が12.6%で続いている。
労基法の次期改正では過半数代表の機能強化に向けて、過半数代表、過半数労働組合、過半数代表者を定義した上で、過半数代表の任務や権限、過半数代表に対する使用者の情報提供や支援・便宜供与、不利益取扱いの禁止、過半数代表者の公平・中立な選出手続を法令レベルで規定。これに加えて指針レベルで、過半数代表に対する支援・便宜供与、過半数代表者の具体的な選出手続の具体例を示すほか、過半数代表者を任期を定めて選出する場合や複数人選出する場合などの留意点も明示する考え。なかでも労使コミュニケーションを活性化させる手段として、現行法で否定していない過半数代表者の任期を定めた選出と複数人選出に期待を寄せる。
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