■新・働く人の心と体の心理学 第69回 著者:深沢孝之
私は、現在放送中のNHK大河ドラマ「光る君へ」にはまっています。元々歴史好きで、学生時代は専攻を心理学にするか歴史学にするか迷っていたくらいでした。今は、いわゆる歴オタで、心理学より歴史の本をよく読み、城巡りや遺跡巡り、神社参拝を楽しんでいます。ただ、やはり歴オタの男子は、とかく戦国などの武士の時代に関心が向きがちで、平安時代ははっきりいってよく知りませんでした。
しかしこのドラマによって、「こんなに平安時代って面白かったのか!」と認識を新たにしています。むろんドラマですから史実とはだいぶ違い、その面白さは脚本や俳優陣、スタッフの力によるところが大きいでしょう。それでも、大規模な戦いがない時代だからこそ、権力闘争は人間臭く、恋愛模様や文学などの文化は今に通じるので、現代人には共感しやすいところが多いと気づきました。私もさっそく『源氏物語』(田辺聖子訳版)を購入して、そちらにもはまっています。
そんな平安時代ですが、働く人たちの状況はどのようだったのでしょうか。藤原道長のような上級貴族の暮らしぶりはドラマで描かれていますが、あれは一部の世界です。実際にその下で働く大多数の人たちの様子を、本紙読者なら気になるかもしれません。ドラマでは、まひろこと紫式部の家族も登場しますが、彼らは中級貴族で、今でいうと県知事や市町村長クラスです。
一般にこの時代は、大化の改新、壬申の乱以降に確立した律令体制、天皇と貴族による専制君主国家の時代といわれます。天皇の下に、官僚である貴族たちが命令一下に一斉に動くイメージです。まるで映画「ラストエンペラー」などの中国皇帝のシーンみたいに。しかし実際は、そんな規律が厳しいような労働状況ではなく、当時の官僚、官人は、仕事をさぼりまくっていたらしいのです。
■怠惰でさぼってばかりの人たち
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。