■講師に無期転換認めず 実践的な授業も教育研究に
大学講師の無期転換特例を巡り最高裁が判断した初めての裁判。無期転換権は有期労働契約が5年で発生するところ、教育研究組織の職に該当すれば10年でなければ発生しません。非常勤講師が教育研究職に該当するかの訴訟が頻発。最高裁は教育研究の定義を「殊更厳格に解すべきではない」と原告の主張を退けています。
■判決のポイント
原告は平成25年、羽衣国際大学の介護福祉士を養成するコースの専任教員として3年間の労働契約を締結。契約期間は3年で、更新は1回に限るとしていました。
任期法は教育研究の特例として、無期転換が雇用期間10年まで発生しない旨定めています。大学の規則には、原告の属する人間生活学部の講師が任期法の特例に該当するとの記載がありました。 大学は原告に対して平成28年に次の更新をしないとして労働契約を更新。原告は無期労働契約の締結の申込みをしましたが、雇止めとなり訴訟を提起しました。
一審大阪地裁判決は請求を棄却。しかし二審判決は職務内容が「教育研究の職に該当しない」として特例適用を否定。労契法18条により、無期労働契約が締結されたとしました。担当する職務に研究の側面が乏しいというのが理由です。
しかし、最高裁は二審判決を否定しました。また、10年特例は「大学の実情を踏まえた判断を尊重する趣旨」と述べ、「職務内容を殊更厳格に解釈するのは相当でない」と指摘しました。
任期法の規定する教育研究職とは、多様な知識又は経験を有する者として、原告がそれに該当するかについては、介護福祉士の養成といった授業内容は実務経験による実践的な教育研究であると述べています。また、教育研究を行うためには、教員の流動性を高めるなどして最新の実務経験や知見を不断に採り入れることが望ましい面があり、講師職は任期法4条1項1号の教育研究組織の職に当たるとして、原告の請求を退けました。
■判決の要旨 教育研究組織の職の意義 殊更厳格に解するのは相当でない
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。