木曜日, 11月 21, 2024

Re: 労働制限のせいで働きたくても働けません(山本晴義医師)

■Dr.山本 18万件のメール相談から読みとく働く人のメンタルヘルス⑨

Q 労働制限のせいで働きたくても働けません【40代男性、開発職】

働き方改革の名のもとに、社内で長時間労働について厳しく制限されるようになりました。私は昔から、時間に制約されるのが苦手で、また夜になると作業がはかどるタイプなので、パフォーマンスが落ちている気がします。仕事が生きがいで、好きで長時間働いているのに、何が悪いのかわかりません。

Answer

山本 晴義(やまもと・はるよし) 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
▶1948年東京生まれ。72年東北大学医学部卒、医学博士。東北大学医学部附属病院などを経て、98年から現職。2000年に始めた「勤労者こころのメール相談」は23年間で相談件数17万件に達する。日本医師会認定産業医。日本心療内科学会評議員。

昨今のICTの発展は目覚ましいものがあり、いつでもどこにいても働くことができる時代になりました。私が365日休まずメール相談を続けられているのもその1つです。

そのような現代社会において、画一的な労働時間規制に反感を持たれることは理解できます。しかし逆に言えば、「望めばどこまででも仕事ができる」ということは、医学的な観点では恐ろしいことでもあるのです。

呼吸や体温、血圧、心拍、消化、代謝、などの生命活動を担う神経を自律神経といいます。この自律神経は、交感神経と副交感神経の2つから成り立っています。交感神経が高まると、血管が収縮し、心拍数や血圧が上昇して、緊張・興奮状態になります。逆に、副交感神経が高まると、血管が拡張し、心拍数や血圧が下降して、リラックス状態になります。それぞれ車でいうアクセルとブレーキのような働きをしているのです。

働いているときは、交感神経が優位になります。適度なストレスは、適度な緊張を生み出し、よい意味でのハリが出ます。しかし、このような状態が必要以上に強まったり長く続いたりすると、心身に悪影響を及ぼします。

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