土曜日, 10月 19, 2024
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機密書類の保有で懲戒解雇は 地位確認等請求事件(令和6・5・14京都地裁判決)

■不用意に自己で保有するのは研究所の職員としてふさわしくない

京都大iPS細胞研究所の元職員の女性が懲戒解雇の無効を訴えた事件。大学側があげた6点ある懲戒事由のうち、研究論文の不正に関する情報の無断閲覧とスキャンは「研究所の教職員としてふさわしいとは到底いえない」とそれだけで懲戒解雇は有効と判断しています。私的な資料の印刷も非違行為として認定されています。

■判決のポイント

原告は被告である京大の研究所のA教授の教務補佐員として勤務していました。平成19年4月から有期雇用契約を締結し、平成31年には無期転換申込権を行使して無期契約社員になりました。

大学が、機密書類の持ち出し等を懲戒事由とし、令和2年3月31日付けで原告を懲戒解雇としたところ、原告が懲戒解雇は違法と訴訟を提起しました。

研究室の教授のパソコンを無断で操作してメールを見たことや、機密書類を取り出してスキャンしたことのほか、備品を勝手に処分したこと、休日に子どもを立ち入り制限エリアに入れたことなども違反だとして、解雇の事由としました。

判決では、大学の就業規則の懲戒事由と照らし、機密メールの閲覧やデータのコピー、複合機の私的利用を懲戒事由として認定。特に、無断でスキャンしたメールが当時未公開であった助教の研究論文に係る不正に関する情報であったため、「科学技術に関する発明、実験等を担う組織にとって職員の研究不正は、慎重な取扱いが要請される」と述べた上で、「機密情報を不用意に自己の支配下に保有することとした原告の行為は、本件研究所の教職員としてふさわしいとは到底いえない」のでその事由のみで懲戒解雇相当、と断じました。

データを削除するように指示されたのに保存していたこと、勤務時間中に300枚もの資料を職場の複合機で私的に印刷していたことも指摘。それだけでは懲戒解雇にならなくても、無断閲覧を加えれば懲戒解雇処分も合理的と述べています。

■判決の要旨 秘密裏に調査進める必要 原告に無断で調査しても

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