介護職員の働きやすい職場づくり表彰について、2024年度の受賞者が決定した。内閣総理大臣表彰には特別養護老人ホーム六甲の館(兵庫県神戸市)、厚生労働大臣表彰優良賞に特別養護老人ホーム悠西苑(秋田県横手市)、介護付きホームメッツ長岡(新潟県長岡市)、ヤザキケアセンター紙ふうせん(静岡県裾野市)、特別養護老人ホームゆめあまみ(大阪府大阪市)、特別養護老人ホームかるべの郷さざんか(兵庫県養父市)の5社を選出。2回目となる今年度の表彰も、他事業所の見本となる職員の待遇改善や生産性向上、人材育成に関する優れた取組みが集まった。
六甲の館は「ノーリフト(人力で抱えない介護)宣言」を行い、天井や浴室での多数のリフトの設置、利用者との個別アセスメントを通じた見守り機器1000%導入など、特に腰痛対策に力を入れた。またノーリフティングケアのメソッド導入のための手当の支給、褒めるスキル研修の実施、5S活動に「スマイル(笑顔)」と「スピーディ(頼まれたらすぐ実行)」を追加した7S活動を推奨。取組みの結果、腰痛ありの職員割合が56%から9%と大幅に低下し、2月時点の離職率も3%と4年前と比べて13㌽減じさせる効果をあげている。
悠西苑は、法定を上回る育児休業や介護休業、育児短時間勤務、子の看護休暇の導入に加えて、不妊治療・不登校児ケアの対応も考慮して24通りのタイムシフトを用意した。また介護福祉士の受験費用や教材費の支給で資格取得を支援し、腰痛予防や喀痰吸引などの各種研修も時間を忙しい夕方から朝に移行して重点化。産休・育休からの復帰や介護職の介護福祉士取得100%、腰痛退職者ゼロを達成し、年間離職率も16.6%から2.6%に低下させている。
介護付きホームメッツ長岡は、介護施設での業務を食事配膳・入浴介助・居室清掃・サロンでのレクリエーションに区分し、業務ごとに働く時間を登録するサポーター制度を導入。未経験者や無資格者でも時短で働けることを強調して募集し、看護師や体操の先生なども含めて高校生から70代までの幅広い地域人材の確保に成功している。